国内外のコンクールで受賞するお菓子会社シャトレーゼのワインとは
2019年11月8日
みなさん、シャトレーゼがワインをつくっていることをご存知ですか?お菓子の会社なので、不思議に思われたり、おいしいの?と疑問を持たれたりする方も多いことでしょう。
シャトレーゼのワイナリーは地元山梨県に2か所、甲府盆地の東端にある勝沼町と、八ヶ岳により近い甲斐市にあります。勝沼町はワインの名産地として世界的に知られる地域で、実はシャトレーゼ創業者の出身地でもあります。ぶどう農家に生まれた創業者の夢をのせ、勝沼にワイナリーができておよそ20年。いまでは、日本国内のみならず、世界のコンクールでも受賞するほどのワイナリーに成長しました。
今回はワイナリー設立時から現在まで工場長を務めている戸澤氏に会い、ワインへのこだわり、そしてお菓子づくりとの共通点を探ってきました。
おいしいワインは、おいしいぶどうから
シャトレーゼでは「ファームファクトリー」という考えのもと、お菓子づくりを行っています。お菓子工場近くの契約農家さんから卵や苺などの新鮮な素材を仕入れ、自社工場でスイーツにして、全国のシャトレーゼで販売。農場(ファーム)とお菓子工場(ファクトリー)を直接つなぐ独自のシステムにより、安全・安心なスイーツをお手頃価格でお届けしています。
ワインづくりも、このお菓子づくりの考え方とまったく同じ。自社畑でぶどうを育て、自社ワイナリーでワインを醸造し、シャトレーゼのお店で販売。なかでもこだわっているのが、自社畑によるぶどうの栽培です。
自分たちの手で育てている一番の理由は、ぶどうのおいしさがワインのおいしさを決定づけるから。醸造は、ぶどうのおいしさを引き出すもので、ぶどうのおいしさを超える味を生み出すことはできません。だからシャトレーゼでは、自社で畑をもち、ぶどうを1年かけて観察しながら育て、その生育状況にあわせて仕込みをするなど、ぶどう主体のワインづくりを行っているのです。
ぶどうの特徴に合わせて、最適なワイン醸造を
ぶどうのおいしさを追求することは、とても時間と手間がかかります。ぶどうは植えてから3年ほどで収穫できるようになり、8年目から成木として、およそ30年間収穫できます。
毎年、寒い冬の時期に剪定し、初夏に芽の数の調整をし、夏にぶどうの房を整えます。日々ぶどう畑に通い、ぶどうの木が欲していることを読み取り、ぶどうのための作業を進め、やっとの思いで収穫を迎えます。1年のがんばりが実を結ぶかどうかは、収穫のタイミングにかかっています。重さ、糖度、酸度などのデータを計測したり、食して風味を味わったり。ワインに最適なタイミングを慎重に見極めて収穫します。
ぶどうは、気候の変化などで年ごとに味わいが変わりますが、同じ品種でも、育てた場所で違う味わいになるのをご存知でしょうか。自社ぶどう畑は勝沼に数か所ありますが、山沿い、川沿い、平地など、それぞれで、ぶどうの持ち味が変わってきます。私たちのワインは、使うぶどうがどんな環境で育ったのかわかるので、華やかでフルーティーなワイン、ふくよかな香りの強いワインなど、それぞれの特徴を活かしたワインづくりができるのです。
チャレンジし続けていることが、結果的にコンクール受賞にも
自分たちが理想とするワインの味を軸において、流行の味も意識しながら、新しいぶどう品種を植えたり、醸造を工夫したり、お客様が飽きないように毎年試行錯誤しながらチャレンジしています。正直にいうと、挑戦してみたものの、あまりの大変さから、やらなければよかったと後悔しそうになることもあります。しかし、いろいろなことに挑戦することで経験が積まれ、たとえ失敗してもひとつの経験を得ることができます。だから、いろいろなチャレンジをすればするだけおいしいワインにたどり着くことができると思っています。
2000年の勝沼ワイナリー完成から今日まで、そうやってワインづくりに取り組んできたからか、今では国内外のコンクールで受賞するなど高い評価をいただいています。「もう一杯飲みたいな」とか、「あれ、もうのんじゃった」と気づいたら飲み終わっていた、そんな日常的に楽しめる身近なワインを、これからもお届けしていきます。