桃の声が聞こえてる?おいしい桃をつくる農家の仕事はまるで樹木との対話
2019年5月23日
桃の人工授粉作業が終わり、1か月半が経った五月晴れの穏やかな午後。桃農家さんでは引き続きおいしい桃づくりのための作業がせっせと行われていました。
4月初旬にはきれいなピンク色の花を咲かせていたのに、あっという間に葉が生い茂り、今はこんなにも青々としています。
雹(ひょう)に負けず
今年は元号が変わった後の5月4日、この地区ではあいにくの雹の被害に見舞われてしまいました。2~3cmほどに実った小桃ちゃんには傷が残ったものもいくつかありました。
葉に傷がついたところも。
農作物は天候に左右されやすく、桃もその影響を受けてしまいます。雹のすごさ、自然の影響力を感じました。ただ、今年の生育は例年並みの育ちだそうです。
雹の被害にも負けずプクプクと可愛い実はフサフサの産毛に包まれ、心地よさそうに風に吹かれていました。桃というとピンク色をイメージされるかと思いますが、この時期はまだ緑色。ご存知でしたか?
剪定や摘果で養分を集中させる
枝葉はぐんぐん成長していきますが、枝も葉も実も成長させてしまうと養分が分散されて、実にいく養分が少なくなってしまいます。そこで、実に養分を集中させるために、不要な枝を切り落としていく=剪定をしていきます。剪定をすることで、日光を十分に浴びることができたり、効率よく作業ができたりするそうです。
そして、この時期のもう一つの大切な作業が摘果。摘果とは、実を間引くという意味です。実がたくさんなりすぎてしまうと、これもまた一つ一つの実に届く養分が少なくなってしまうので、一部の実を間引くことで、養分を集中させることができるのです。
前回の取材では、養分を分散させないようつぼみや花も摘み取っていることを教えてもらいましたが、実になってからも選別していくのですね。食いしん坊の私はたくさん実をつけておけばたくさん桃ができるのに…と思ってしまうのですが、甘くて大きなおいしい桃づくりには思い切って実を選別することが大切なのです。
桃の木と会話する?
ベテランの桃農家さんが育てている樹木をみると、その見事な枝っぷりに驚きました。「男前だな~」と本当に感動するくらい、大きく力強い、たくさんの実をつける生命力のようなものを感じました。私の写真力でお伝えしきれないのが残念です。
そんな木づくりをするために、ベテランの桃農家さんは剪定や摘果の作業をする際、葉の様子から樹木の状態を判断します。今年はどの樹木が元気なのか、どの枝に大きな実がつきそうか、どこに実を残したら養分を届けることができるか、作業を進めている姿はまるで会話をしているよう。
桃農家さん:今年の幹の様子はどう?
桃の木:元気ですよ。今年もおいしい桃が実りそうです。もっと日光に当たりたいんだけど、このあたりの枝を切ったらどうかな?
桃農家さん:そうだね、ではここの枝を切って、こっちに実を残そう。
桃の木:うん、甘くて大きくなりそう。
そんな会話が聞こえてきそうでした。
そして、傷みや日焼けの防止のため一つ一つの実に丁寧に袋をかけていきます。これから収穫までの約1か月間、袋の中で大きく成長していきます。
この時期の若桃をかじってみましたが、ほんのり桃の香りがしてジューシーなんです。すでにおいしい桃が収穫できる事間違いなしの予感!
フルーツの栽培に適した山梨の気候と農家さんの丹念な土づくり、木づくり、手間暇かかったこれまでの作業がおいしい桃につながっていくのですね。あと約1か月後の成長が楽しみです。
実はシャトレーゼのふるさとは山梨県。地元山梨の顔が見える桃農家さんから安全・安心なおいしい桃を仕入れることができます。そのまま食べてもおいしい桃をスイーツにして楽しむ、そんな贅沢ができるのは7月の予定です。お楽しみに。