「アイスは生モノ」シャトレーゼでは賞味期限を設けています
2019年5月9日
アイスには賞味期限が「ない」
まず、アイスには賞味期限が「ない」ことはご存知でしょうか?
知らなかった!という方もいらっしゃると思うので簡単に説明しますと、まずアイスは、-18℃以下の冷凍保存の状態では微生物が繁殖しない、品質劣化が少ない、といった理由から、消費者庁食品表示基準の規定により「アイスクリーム類にあっては、期限及びその保存方法を省略することができる」と定められています。
つまり、アイスは「腐らない」し「劣化しにくい」ので、賞味期限の記載は不要、というわけです。
たしかにスーパーやコンビニでパッケージを見てみると、どの商品にも賞味期限は書いていません。
極端に言えば、1年後だろうと10年後だろうと、はたまた100年後だろうと、冷凍保存さえされていればアイスは食べられます。
シャトレーゼのアイスには賞味期限が「ある」?
ところが、シャトレーゼが販売しているアイスクリーム類には、どれも賞味期限が書いてあります。
濃厚な味わいが特徴の『カップアイス』にも。(フタのフチに)
なめらかな口どけが特徴の『バーアイス』にも。(右側に)
自社で焼き上げた香ばしい『コーンアイス』にも。(右上に)
これってどういうことでしょう?
シャトレーゼのアイスは腐るのでしょうか?
もちろんそんなことはありません。
ですが、より安心してご購入いただくために、なぜシャトレーゼのアイスに賞味期限があるのか、詳しいことを開発担当者から紹介してもらうことにしました。
折しも5月9日は「アイスの日」。
これから暑い日がやってくると買う機会も増えてくると思うので、購入の際の参考にしてください。
アイスは生モノ!?
やってきたのは、山梨県甲府市にあるシャトレーゼの中道工場。
受付に足を踏み入れるだけで、バターやクリームの甘い香りがふわりと漂ってきます。
話をしてもらうのは商品開発部の野尻さんです。
現在シャトレーゼが販売するほぼすべてのアイスクリーム類の開発に携わっています。
–どうしてシャトレーゼのアイスクリーム類には賞味期限があるのですか?
野尻「アイスはなんといっても出来立てが一番おいしいので、できるだけ新鮮でおいしいうちにお客様に食べていただくために、その目安として賞味期限を設けています。」
–時間がたつことで、主にどのあたりが損なわれるのですか?
野尻「管理方法によっても違うのですが、一番影響を受けるのは、家庭の冷凍庫だと扉の開け閉めなどで温度が変化し、表面が溶けたり凍ったりしてしまうことです。そのせいで風味が落ちたり表面の食感が悪くなったりしてしまいます。きちんと温度保管できていたとしても、どうしても外部からの影響は受けるので、特に乳製品を使ったアイスクリームなどは、風味が大きく落ちることがあるんです。」
そういえば、冷凍庫の中で保存していた氷や冷凍食品が、気がつくとくっついて固まりになっていた、ということ、よくありますよね?
あれは、冷凍庫の開け閉めや、機械の温度管理の都合で、庫内の温度がどうしても上下するため、表面が溶けたり凍ったりするためです。
アイスは味だけでなく表面のなめらかさにもこだわるため、このわずかな温度変化が品質にも影響してしまうのですね。
野尻さんに言わせれば「アイスは生モノ」。
腐りこそしないものの、なるべく新鮮なうちに食べてもらいたいという思いが、賞味期限に込められているのです。
シャトレーゼのアイスのこだわりは、原材料と減添加にあり
とはいえ、賞味期限を設けるとなれば、店舗での管理にも手間がかかるし、廃棄せざるを得なくなることもでてきます。
それでもあえて賞味期限を設けるこだわりとは?
野尻「シャトレーゼのアイスで特にこだわっていることは大きく2つあります。ひとつは原材料、もうひとつは、添加物をできるだけ使わないことです。
原材料については、代表的なのはやはり牛乳。契約牧場で絞った新鮮な牛乳を自社工場で低温殺菌、というのはお菓子メーカーでも他にあまりないと思います。
次に、山梨県産の白桃や葡萄などのフルーツ。山梨の企業だからこそ手に入る地元の質の高いものを使用しています。
あと、忘れてはいけないのは水です。アイスは多いものだと半分が水というものもあるので、水そのものがおいしくないと、アイスもおいしくなくなってしまいます。アイスづくりに使う八ヶ岳の白州の水は、クセのない軟水で、素材の味を邪魔しないところがアイスに最適です。
もうひとつのこだわりが、添加物を使わない、使う場合でも最小限にすることです。一般的にアイスには鮮度や柔らかさを保つために安定剤や乳化剤、香料などが使われるのですが、これらを使わないもしくは極力減らしたり、添加物の代わりに「じゃがいもでんぷん」「寒天」「こんにゃく粉」などを使ったり、安心して召し上がっていただけるようにしています。
また、これはおいしい水を使用していることとも関係しますが、添加物を抑えることで、素材の味をできるだけ引き立たせるという目的もあります。」
原材料にこだわり、さらに添加物をできるだけ抑えてその繊細な味を引き出しているから、なおさら出来立ての鮮度で食べてもらうことが重要になるのですね。
賞味期限1ヶ月!こだわりを凝縮した『八ヶ岳直送ミルクジェラート』
(現在は販売していません)
そんなシャトレーゼのこだわりが如実に現れた代表的な商品がこちらです。
通常は、賞味期限がおよそ半年~1年の商品が多いのですが、この『八ヶ岳直送ミルクジェラート』はなんと賞味期限わずか1ヶ月!
牛乳そのものの賞味期限とさほど変わらないのでは!?と思うほど。
野尻「八ヶ岳の契約牧場で絞った牛乳をその日のうちに自社工場で低温殺菌し、次の日にはアイスクリームに仕上げ、4日目には店頭に並ぶというスピードでお届けしていました。」
牛乳の鮮度にとことんこだわった商品なので、より出来立てを味わっていただきたいという思いから、1ヶ月という賞味期限になったそう。それでいて価格は1個151円(税込)とお手頃価格でした。
シャトレーゼのお菓子づくりの根底にあるのは、ファームファクトリーの考え方。
ファームファクトリーとは、卵や牛乳、水、果物など、お菓子に必要な素材を、地元の契約農家や農場より直接仕入れ、自社工場でお菓子づくり。お菓子は素早く自社物流で配送し、全国のお店にお届けする。問屋を通さないこのシステムを「ファームファクトリー」と呼んでいます。
契約農家、自社工場、自社配送、シャトレーゼのお店が一貫してつながっているからこそ、素材の鮮度にこだわり、素材のおいしさを引き出すお菓子の開発・製造・販売ができるのです。
そして、価格は家庭の日常に届けられる手頃さは忘れない。
この考え方があるから、賞味期限を設けることが可能になり『八ヶ岳直送ミルクジェラート』のような商品が生まれたと言えます。
※『八ヶ岳直送ミルクジェラート』はリニューアルを検討中。
5月発売の新作も自信作が目白押し
続けて、現在絶賛開発中だという新作アイスについても聞きました。
–今開発中のアイスは何種類ですか?
野尻「10種類くらいです。5月は暑くなりはじめなのでクリーム系やミルク系など、7月にはよりさっぱりしたものを予定しています。」
–5月発売の商品について教えてください
野尻「まず『八ヶ岳契約牧場 しぼりたて牛乳シリーズ』がリニューアルします。八ヶ岳高原の契約牧場からしぼりたての牛乳を仕入れているのですが、より新鮮な牛乳のおいしさを味わっていただけるよう、素材や配合を見直しました。牧場で食べるアイスのような、すっきりとしたミルク感をお楽しみいただきたいです。
モナカは小ぶりのものからサイズアップしているので、食べ応えもありますよ。」
5月24日(金)リニューアル予定 ※一部店舗ではリニューアル日程が変更になる場合もございます。
八ヶ岳契約牧場しぼりたて牛乳バー 珈琲/ミルク/宇治抹茶/いちご
1本 各70円(税込75円)、同種6本入 各340円(税込367円)
5月24日(金)リニューアル予定
八ヶ岳契約牧場しぼりたて牛乳アイス
1個120円(税込129円)、4個入400円(税込432円)
5月24日(金)リニューアル予定
八ヶ岳契約牧場しぼりたて牛乳モナカ
1個110円(税込118円)、4個入340円(税込367円)
野尻「それから、デザート氷もおすすめです。この商品は、クリームのふんわり感とかき氷のさっぱり感の2つを楽しめる、アイスクリームでもかき氷でもない新食感のアイスです。種類は白桃、ストロベリー、チョコミントの3種。自信作なので、ぜひたくさんの方にお召し上がりいただきたいです。」
5月24日(金)発売
デザート氷クリーム仕立て 山梨県産白桃ヨーグルト風味/ストロベリー/チョコミント
1個 各120円(税込129円)
同種4個入 各400円(税込432円)
これからもアイスクリームを追求します!
–ところで野尻さんはシャトレーゼのアイスづくりをほぼ一手に担っていますが、他に開発してみたいものはありますか?
野尻「入社した時は、本当はケーキがつくりたかったんですけどね(笑)いろんな都合でアイス担当になりました。」
–ではチャンスがあればケーキを担当してみたい?
野尻「いや、アイスで!まだまだやってみたいことがたくさんあるんです。扱ってみたい食材や、試してみたい製法がたくさんあるので。」
おー!さすが、「毎日食べても飽きない」「お腹を壊さない」という野尻さん。
なんと頼もしい。そして深いアイス愛。
それだけ追求しがいがある世界だということですね。
–最後にお客様に向けてメッセージはありますか?
野尻「シャトレーゼのこだわりである、より新鮮な素材のおいしさをいかした商品をこれからもお届けできるように頑張っていくので、ぜひ期待していてください。
それと、賞味期限があろうとなかろうと、アイスはとにかく出来立てがおいしいので、買ったらなるべくお早めに食べてくださいね!」
みなさんも、うっかり冷凍庫の奥にしまいこんで…なんてことのないようにしましょう(汗)
そう、アイスは生モノなんですから!